「歯を磨いても歯間ブラシをしても口臭が全然消えない!・・・これって病気?!」、「旦那の口臭がひどい。歯医者で歯の掃除をしてもらってもダメ。病気なのかも・・・」など、自分の口臭や人の口臭で悩んでいる人は以外と多いです。
口臭の大半は、口の中のケアをすれば消えますが、それでは消えてくれない口臭があります。
その場合は、病気の可能性を考えた方がよいかもしれません。
オンナの教科書では、病気が原因の口臭のニオイの特徴とその正体、病名や症状、原因についてお伝えしています。
歯を磨いても取れないきつい口臭、ひどいニオイは病気?
口臭には3つの種類があります。
1つは生理的口臭、次に外因的口臭、そして病気が原因の病的口臭です。
生理的口臭と外因的口臭のほとんどは、歯磨きや歯間ブラシ、歯のリンス、舌専用のブラシでのケアなどといった口の中のケアで取ることができます。
それでも取れないきつい口臭、ひどいニオイがある場合は病的口臭の可能性があります。
ただ、病気とは決まったわけではありません。
今まで色々なケアをしてきたと思いますが、まずは生理的口臭と外因的口臭の可能性を潰し、その後に病気の可能性を検討してみましょう。
生理的口臭とは?
生理的口臭とは、寝起き、空腹時、下痢などが理由で口の中が乾燥して、臭いを発する菌が増殖することです。
ドライマウスとも呼ばれることがあります。
生理的口臭は誰にでもあるもので、ほとんどは口の中のケアをすれば取れます。
ニオイは人によってそれぞれですが、多いのは生臭いニオイです。
舌苔(ぜったい)といって舌が白くなるのも生理的口臭です。
舌苔があると、生ごみが腐ったようなニオイ、ドブのようなニオイがします。
舌苔は舌専用のブラシでケアをすると取れます。
口臭がうんこのようなニオイやおならのようなニオイがする場合は、便秘の可能性が高いです。
この場合は口の中のケアではなく、便秘の解消をしましょう。
外因的口臭とは?
外因的口臭とは、ニンニク、納豆、チーズといったニオイがキツイ食べ物やタバコ、アルコールなどのニオイがつきやすい嗜好品による口臭のことです。
外因的口臭も口の中のケアをすれば取れます。
この2つ以外の口臭は、病的口臭の可能性が高いです。
こんな口臭は病気のサイン!病気の種類別のニオイで自己診断しよう!
病的口臭のひどいニオイは病気のサインの場合があります。
このニオイには色々な種類があります。
まずは、自分の口臭がどんなニオイなのかをチェックしてみましょう。
そして、そのニオイからどんな病気が考えられるのか、あたりを付けてみましょう。
2-1.口臭を自分でチェックする方法
自分の口臭がどんなニオイなのを知るには次のような方法があります。
- 口臭をチェックする方法
- ①コップかビニール袋を用意する
②①に息を閉じ込める
③しばらく時間を置いく
④②を開けて鼻呼吸をする
ぜひトライしてみてください。
2-2.臭いのタイプ 腐った玉ねぎ・腐った卵
腐った玉ねぎや腐った卵のような食べ物の腐敗したようなニオイがする場合は、虫歯か歯周病(歯槽膿漏)の可能性があります。
腐った玉ねぎのニオイの正体は、メチルカプタンという硫黄系の悪臭を放つ物質です。
腐った卵のニオイの正体は、硫化水素という硫黄系の物質です。
虫歯とは?歯周病とは?
虫歯は日本人の100人に95人はかかっている国民病です。
虫歯にかかると歯の表面が茶色っぽく変色してきます。
進行すると、沁みたり痛んだりします。
歯周病は歯肉が炎症する病気です。
悪化すると歯の土台となっている骨を溶かし、やがて歯を失ってしまうことになりかねません。
虫歯・歯周病の原因
虫歯は虫歯菌が原因です。
歯周病は歯垢の中にいる細菌が原因です。
腐った玉ねぎや腐った卵など、食べ物が腐ったようなニオイがする場合は、歯科で診てもらいましょう。
2-3.臭いのタイプ 甘酸っぱい・腐ったリンゴ
口臭が甘酸っぱい、腐ったリンゴのような臭いがする場合は、糖尿病の可能性が高いです。
糖尿病になると、体内に取り込まれた糖分が正常に代謝されず、その代わりに脂肪が代謝されます。
脂肪が代謝されるとアセト酢酸やアセトンといったケトン体が発生します。
このケトン体が果物が腐ったようなニオイの正体です。
糖尿病とは?
膵臓(すい臓)が機能しなくなり、常に血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
日本人の5人に1人が糖尿病と言われている国民病の1つです。
自覚症状は少なく、健康診断の数値の異常で見つかることがほとんどですが、のどが渇いたり、おしっこが多くなったりすることもあります。
放置しておくと、血管や神経がもろくなり、栄養が全身に廻らなくなることで、臓器にまで障害が起こってきます。
糖尿病の原因
糖尿病は2種類あります。
1つは突然発症してすい臓がほぼ機能しなくなるもの、もう1つは生活習慣の乱れが原因ですい臓の機能が著しく低下してしまうものです。
日本人の場合、95%以上が生活習慣の乱れによるものです。
もし、口臭が甘酸っぱかったり、果物が腐ったような臭いだったりしたなら、内科か糖尿病科などで診てもらいましょう。
2-4.臭いのタイプ 苦い・吐き気を催す
苦いニオイがしたり、吐き気を催したりする場合は、胃液が逆流してしまう逆流性食道炎の可能性があります。
ニオイの正体は胃液です。
胃液のニオイはもらいゲロをしてしまうほど強烈ですよね。
逆流性食道炎とは?
本来は逆流しない胃液が逆流して食道に流れ込み、胃酸によるただれや炎症を起こす病気です。
胸焼けがしたり、ゲップや咳がよく出たり、のどに違和感を感じるなどの症状があります。
逆流性食道炎の原因
原因は主に食生活です。
普段からお腹いっぱいになるまで食べ過ぎていたり、脂肪やたんぱく質が多い食事だったりすると、下部食道括約筋という逆流を防ぐ筋肉が弱まってきます。
また、加齢による筋力の低下が原因の場合もありますし、背中が曲がっていることで胃への圧力が高まることが原因の場合もあります。
この病気は、内科や胃腸科、消化器科などがある病院で診てもらいましょう。
2-5.臭いのタイプ 腐った卵、硫黄の温泉
腐った卵や硫黄の温泉のようなニオイの場合は、胃腸に関連する病気、つまり胃腸病の可能性があります。
具体的には、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などです。
腸で消化しきれずに残った食べ物が腸の中で腐り、悪臭を放つようになります。
この悪臭がこの悪臭が血液やリンパ液に混じって全身を巡り、呼吸の際に吐き出されるのです。
これがニオイの正体です。
胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍胃腸病とは?
胃炎は胃の粘膜が炎症を起こしている状態です。
胃のむかつき、もたれ、食欲不振、ゲップがよく出るなどの症状があります。
胃潰瘍は胃壁が胃酸によって傷ついてしまう病気です。
胃の痛みや吐血するなどの症状があります。
十二指腸潰瘍は胃潰瘍の十二指腸バージョンです。
胃やその周辺が痛むという症状があります。
胃腸病の原因
主な原因は、食べ過ぎ、飲みすぎによる消化不良です。
偏食やストレス、睡眠不足など、日々の生活も原因になることがありますし、菌や抗炎症薬が原因の場合もあります。
十二指腸潰瘍は30~40歳代の男性によく見られる病気です。
もしこの年代の夫やパートナーがいて、口臭が硫黄の温泉みたいな場合は、この病気の可能性が高いです。
内科や胃腸科、消化器科、消化器内科で診てもらいましょう。
2-6.臭いのタイプ ネズミ・カビ・ドブの臭い
このようなニオイがある場合、肝機能障害、慢性肝炎などの肝臓系の病気の可能性があります。
肝臓の機能が低下し、身体の中の老廃物などの不要なものが分解され無い状態が続くと、やがて悪臭を放つようになります。
この悪臭が血液やリンパ液に混じって全身を巡り、呼吸の際に吐き出されるのです。
これがニオイの正体です。
肝機能障害とは?慢性肝炎とは?
肝臓は身体の中の老廃物や毒素を分解する重要な役割を担っています。
この機能が低下してしまうことを肝機能障害といいます。
自覚症状がありませんので、健康診断の数字で知る人が殆どです。
慢性肝炎とは肝臓が炎症を起こした状態が、半年以上続いている病気です。
食欲減退、倦怠感、すぐ疲れるなどの症状があります。
いずれの場合も、自覚症状がなく健康診断で数値で知る人がほとんどです。
しかし放っておくと最終的には肝臓がんになってしまいますので注意が必要です。
肝機能障害・慢性肝炎の原因
肝機能障害は主に食生活が原因です。
具体的には、過度なアルコールの摂取、早食い、脂肪や糖類、たんぱく質が多い食事などです。
慢性肝炎は、ウイルスの感染、薬剤、アルコールの過剰摂取が原因です。
疑わしい場合は、内科、消化器内科、肝臓内科で診てもらいましょう。
2-7.臭いのタイプ 腐った肉
肉が腐ったようなニオイがする場合は、歯周病、蓄のう症(副鼻腔炎)、扁桃腺炎、肺炎などの可能性があります。
歯周病と蓄のう症の場合は、膿がニオイの正体です。
扁桃腺炎の場合は、膿栓(のうせん)がニオイの正体です。
膿栓は臭い玉とも呼ばれることもあります。
これは菌やウイルス、白血球などの死骸のカタマリです。
肺炎は、口の中の菌が肺に入ってしまうことで起こります。
ですので、ニオイの正体は口の中の菌です。
歯周病とは?蓄のう症とは?扁桃腺炎・肺炎とは?
歯周病は前述のとおり、歯肉が炎症する病気です。
自覚症状がないですが、悪化すると痛みが出てきます。
蓄のう症は副鼻腔が何らかの原因で炎症を起こしている状態です。
頭痛や鼻づまりなど辛い症状が続きます。
扁桃腺炎は、扁桃腺炎が炎症を起こして腫れてしまう病気です。
食べたり飲んだりする際の喉の痛みや高熱、頭痛、関節痛、寒気などといった風邪と同じような症状が出てきます。
肺炎ではとにかく咳が出ます。
また、風邪と同じような症状が出ることもあります。
歯周病・蓄のう症・扁桃腺炎・肺炎の原因
歯周病は歯垢の中にいる細菌が原因です。
歯科で診てもらいましょう。
蓄のう症は風邪や花粉などへのアレルギー反応が原因です。
扁桃腺炎は風邪の原因と同じで、ウイルスや細菌の増殖が原因です。
蓄のう症、扁桃腺炎は、いずれも耳鼻科で診てもらいましょう。
肺炎は肺炎球菌という菌が原因です。
風邪やインフルエンザが原因のこともあります。
疑わしい場合は内科か呼吸器内科で診てもらいましょう。
2-8.臭いのタイプ アンモニア臭
口臭がアンモニアのようなニオイがする場合は、歯周病か肝硬変、慢性腎不全の可能性があります。
ニオイの正体はアンモニアです。
歯周病は症状が進行すると、菌がアンモニアを発生させることがあります。
肝臓や腎臓の機能が低下すると、体内で食べ物から生み出されたアンモニアの分解ができません。
そのため、アンモニアが血液やリンパ液に混じって全身を巡ってしまい、呼吸をする際に、吐き出されます。
歯周病とは?肝硬変、慢性腎不全とは?
歯周病は歯肉が炎症する病気です。
肝硬変とは慢性的な肝炎の結果、肝臓が硬くなってしまった状態です。
慢性肝炎が悪化した状態ですが、自覚症状はありません。
慢性腎不全は腎臓の機能が40%以下に低下してしまった状態です。
初期の頃は自覚症状がありませんが、進行が進むと、むくみがひどくなったり、泡立った尿が出てきたり、頻尿になったりといった症状が出てきます。
歯周病・肝硬変・慢性腎不全の原因
歯周病は歯垢の中にいる細菌が原因です。
歯科で診てもらいましょう。
肝硬変は食べ過ぎと運動不足が原因です。
自覚症状がないので健康診断の数値で知ることがほとんどです。
疑わしい場合は消化器内科で診てもらいましょう。
慢性腎不全の原因は複数あります。
代表的なのは慢性糸球体腎炎、続いて糖尿病、高血圧などです。
こちらも健康診断の数値で知ることがほとんどです。
疑わしい場合は、泌尿器科か腎臓内科がある病院を探して、診てもらいましょう。
2-9.臭いのタイプ 腐った魚
この場合は魚臭症(トリメチルアミン尿症)の可能性があります。
トリメチルアミンという成分がニオイの正体です。
この成分を体内で分解することができず、血液やリンパ液に混じって全身を巡ってしまい、呼吸の際に吐き出されます。
魚臭症とは?
魚臭症とは、何らかの理由でトリメチルアミンという魚の腐ったようなニオイのする成分を、体内で分解することができない状態です。
魚臭症の原因
原因は2つあります。
1つは遺伝による先天的なもの、もう1つは食生活の乱れによる肝機能の低下という後天的のものです。
食事によって症状を抑えることができますが、症例が少ないので診てくれる病院がありません。
昭和薬科大学(東京都町田市)の山崎浩史先生が診てくれるようです。
参考:参照)五味クリニック
2-10.臭いのタイプ 不明。でも人に嫌われるほど強い
口臭を自分でチェックする方法でチェックしてみてもよく分からない。
にもかかわらず、「臭っているはず」、「周りからは確実にクサいと思われているはず」という場合は、自臭症(心因性口臭)の可能性があります。
自臭症とは?
「周りの人に口臭がひどいと思われている」、「きつい口臭が原因で周囲から嫌われている」などと思い込んでしまう病気です。
この病気は、繊細な人、真面目な人、几帳面な人、神経が細やかな人などがかかりやすいです。
自臭症の原因
原因は思い込みです。
人と接しているときに、相手の言葉や態度によって、「私の口臭はキツイのでは?」と思ったことが最初のきっかけです。
「このままではマズイ」というネガティブな思考や感情が継続することで、やがて「私は口臭がキツイ」と思い込むようになってしまうのです。
疑わしい場合は、心療内科で診てもらいましょう。
まとめ
ニオイのタイプ別に、ニオイの正体、可能性が高い病名と症状、原因、対応している診療科をお伝えしてきました。
歯磨きや舌磨きなど考えられる範囲で口の中のケアをしても消えない口臭は、病気の可能性があります。
何とかしたい場合は、ニオイのチェックをして、その口臭が病気なのかの見立てをして、しかるべき診療科で診てもらうようにしましょう。