葉酸欠乏症による貧血はなぜおこる?原因と唯一の対策の具体的方法

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鉄分はとっているはずなのになぜか貧血ぎみ。これって鉄ではなく葉酸の欠乏症による貧血?と思っておられるかもしれませんね。

そう思われたあなたはするどいです!

実際に、葉酸欠乏症で貧血になることがあります。

  • 葉酸欠乏症はどんな症状?どうやったら分かる?
  • 葉酸欠乏症がひどくなるとどんな弊害や病気の可能性がある?
  • 葉酸欠乏症で貧血になるのは何が原因なの?
  • 葉酸欠乏症になるのを防ぐ・なってしまったらどうしたらよい?

こちらの記事では葉酸欠乏症の症状、見分け方、原因、予防のためにはどうしたらよいか?についてまとめます。

ひょっとしたら私の貧血は葉酸欠乏症かも!?と気になる方はぜひ参考になさってください。

葉酸欠乏症とはどんな症状?


葉酸欠乏症とは、体内の葉酸が不足してしまっておこる症状のことで、葉酸欠乏症貧血ともよばれます。

具体的には、葉酸欠乏症(=葉酸欠乏症貧血)は葉酸の欠乏により、赤芽球の分裂増殖が低下して生じる貧血のことを指します。

そのため、葉酸欠乏症は、貧血の症状が出ることでひょっとして?と気がつくことが多いようです。

葉酸欠乏症でみられる症状
  • 体がだるく、よくふらつく
  • 肌や粘膜が荒れ、口内炎ができる
  • 苛立ちやすく、落ち込みやすくなる
  • 貧血からくる疲労、蒼白
  • 息切れ、めまい

貧血=医学的にいえば「赤血球の減少した状態」のことです。

ただ、貧血にも複数の原因があるので、軽い貧血症状だけでは原因が葉酸欠乏症とは分かりにくいのが実情です。

葉酸欠乏症かどうかは血液検査で分かる


葉酸欠乏症かどうかは、葉酸は摂取後に血液中に溶け込むことから血液検査をすることで知ることができます。

「貧血」とよく聞きますが、実は貧血にも原因が複数あり、その原因は血液の成分を実際にみてみないと原因を特定しがたいのです。

なので、葉酸欠乏症による貧血であるということは血液中の濃度で判断されます。

では具体的に、血液がどのような状態になっていると、葉酸欠乏症と診断されるのでしょうか?

葉酸欠乏症の基準
  • 血清中の葉酸の濃度・・・・基準値(7pmol/ml)より低い
  • 赤血球中の葉酸の濃度・・・・基準値(305pmol/ml)より低い
  • 血清中のホモシステイン濃度・・・・基準値(14nmol/ml)より高い

ポイントは、この3つです。これらの濃度が基準値よりも著しく低い(または高い)時に、葉酸欠乏症と判断されます。

葉酸欠乏症が重症化するとどんな弊害や病気の危険性がある?


軽い葉酸欠乏では、葉酸欠乏症だと分かりにくいのですが、葉酸欠乏症が重度になると巨赤芽球性貧血になり特徴ある症状がみられます。

また、貧血以外の弊害や病気につながる恐れもあります。順に説明しますね。

葉酸欠乏症が重度になると巨赤芽球性貧血に


葉酸欠乏症が悪化して引き起こされる貧血です。

巨赤芽球性貧血はビタミンB12か葉酸の不足で起こります。

体内の葉酸が不足していると、骨髄の中の赤芽球の細胞分裂がうまくいかずに正常な赤芽球が作り出せません。

そのかわりに、骨髄の中に巨赤芽球という巨大な未成熟の赤芽球が増えてしまい、骨髄の中に巨大な赤血球ができてしまい、巨赤芽球性貧血となってしまいます。

巨赤芽球性貧血は、鉄欠乏性貧血に類似していますが、血液障害、神経障害、消化器障害の3つの症状を表すのが特徴です。

巨赤芽球性貧血の症状の特徴
    【血液障害】

  • 全体の倦怠感、だるさ、息切れ、動悸を強く感じる
  • 皮膚の色がやや黄疸のような色をおびる

  • 【消化器障害】

  • 食欲不振、吐き気、下痢などの胃腸症状
  • 舌が赤くピリピリとしびれる
  • 舌があれたりしみるようになる
  • 舌の表面が赤くつるつるしてくる
  • 胃酸がなくなる

  • 【神経障害】

  • 脚のしびれるような感じがする
  • かゆみをおぼえる
  • アリがはうような感覚(蟻走感)を覚える
  • 脚のしびれがひどくなると歩行困難になってくる

貧血の症状だけでなく、全体の倦怠感、赤くただれた舌、味覚低下、脚のしびれ、体重減少など、大きく日常生活にも支障がでてきてしまいます。

葉酸欠乏症の重症化で認知症や動脈硬化のリスクも


葉酸欠乏症貧血が重症化すると、巨赤芽球性貧血以外にも支障がでてくる可能性があります。

葉酸欠乏症貧血の重症化で心臓病や大腸ガン、子宮頸ガンのリスクがあるとの報告がされています。

また、認知症の研究分野でも、葉酸と認知症やうつ病との関連も指摘されており、ここまでくると、ただの貧血の域を超えてきますね。

妊娠前・妊婦の女性の葉酸欠乏症で胎児に先天性異常


妊娠を考えている女性が妊娠前に、また、妊婦さんが葉酸欠乏症になると、乳児の脊髄または脳の先天異常(神経管閉鎖不全)がみられることが報告されています。

先天性異常で報告があるのは、神経管閉鎖不全、二分脊椎、無脳症などの症状です。

この妊娠前・妊娠中の葉酸欠乏症による先天性異常については、世界的なレベルで警告・勧告がされています。

日本を含めた多くの国で「妊活中である女性・妊婦8特に妊娠初期)の葉酸摂取が推奨されています。

そのため、妊娠前や妊娠期は葉酸欠乏症を確実に避けるべき対策をとるのがママのためにも子供のためにも最善です。

葉酸欠乏症を引き起こしやすい原因は大きく3つ


葉酸欠乏症の原因は葉酸の不足です。葉酸不足を引き起こしやすい原因は主に3つに分けられます。

葉酸不足を引き起こしやすい原因3つ
  1. 葉酸欠乏症は摂取の減少(例,アルコール依存症による)
  2. 体内での葉酸の需要の増大(例,妊娠による)
  3. 葉酸の吸収障害(例,薬物または吸収不良を引き起こす疾患による)

順に具体的にみてきますね。

①アルコール依存症の人は低栄養から葉酸欠乏になりやすい


葉酸が欠乏する一般的な原因では、飲酒が好きで大量に飲酒するアルコール依存が原因なことが多いです。

アルコール多量摂取で葉酸欠乏になる理由
  1. アルコールが葉酸の吸収と処理(代謝)をさまたげてしまうため
  2. アルコールを大量摂取・依存気味の方は、食べ物の代わりにアルコールを摂取するので低栄養で体の栄養がそもそも足りない

アルコール自体に葉酸吸収を妨げられてしまう上、アルコールが多いことで体が栄養不足のことが多いことで複合的に葉酸が体内に入りにくい環境になってしまうのが原因となっています。

②妊娠や透析で必要葉酸量が倍増して追いつかず欠乏する


次には、妊娠や透析が必要な状況で、体内に必要とされる葉酸量が倍増するために、通常の葉酸摂取ではおいつかないという原因です。

妊娠中の女性は必要葉酸量が倍に増える
  • 妊娠していない女性の推奨葉酸量・・・・200㎍/日
  •        ↓

  • 妊娠している女性の推奨葉酸量・・・・・・400㎍/日
透析によって葉酸が喪失する
  • 1回の透析・・・・10~250μgの葉酸を喪失
  •        ↓

  • 日本人の1日の平均葉酸摂取量・・・・300μg/日程度

通常の生活や葉酸摂取量なら不足することがないのかもしれませんが、必要量が倍になってしまうとやはり不足してしまうのですね。
 

③葉酸の吸収障害で欠乏 病気やメトトレキサートなどの薬


最後は、葉酸の吸収を妨げる病気、薬の使用などが原因で、必要な葉酸量が吸収されないといった原因です。

葉酸の吸収不良を引き起こす病気
  • セリアック病
  • スプルー
  • その他の吸収不良症候群
  • 先天性または後天性の葉酸吸収不良

 

葉酸の吸収を低下させる薬
  • 多くの抗けいれん薬(フェニトインやフェノバルビタールなど)
  • がんや関節リウマチの治療に使うメトトレキサート
  • 高血圧の治療に使うトリアムテレン
  • 糖尿病の治療に使うメトホルミン
  • 抗菌薬のトリメトプリム-スルファメトキサゾール

これらの病気や薬などは葉酸の吸収を妨げると言われています。

 

葉酸欠乏症による貧血の対策方法は一つだけ。ベストは


葉酸欠乏症の予防、なってしまったときの対策方法は実はシンプルです。

「体内の葉酸量を増やすこと」

体内の葉酸量が足りてなくて、葉酸欠乏症になっているので体内の葉酸量を増やせばよいのです。

ただ、葉酸欠乏症かも?と思ったときは、自己判断で対処せずに医師の診断をうけるのがベストです。

医師の診断をうけるのがベストな理由
  1. 葉酸欠乏症かどうはか血液検査でないと分からない
  2. 葉酸欠乏症ではなく、ビタミンB12欠乏症かもしれない可能性もあり、そうなると対処法が少し違うため
  3. アルコール依存の場合は、他の栄養素の不足も考えられアルコール摂取との兼ね合い調整がいるため
  4. 妊娠の可能性がある人は、胎児の状態や母体の環境をみる必要があるため
  5. 透析などの必要性で葉酸欠乏症になっている場合は、医師による薬とのバランス調整が必要なため

葉酸欠乏症の原因としては、唯一「葉酸が欠乏している」ことが原因なのですが、そこまでになった要因は習慣や病気、特異的な状況などと関連していることが多いので、自己判断しないことが大切です。

医師による診断をしっかりとうけましょう。

葉酸欠乏の補充のために葉酸摂取量を増やす具体的方法


しっかりと医師の診断をうけ検査をして頂いて葉酸欠乏症と診断されたら、その後どうすることになるのでしょうか?

葉酸欠乏症と診断されたあとは、葉酸欠乏症はもう葉酸量を増やすことが唯一の方法!なので葉酸摂取量を増やす工夫をすることになります。

医師からも提案があるかと思いますが、葉酸を増やす上での注意点をまとめると

葉酸を増やす上での注意点
  • 葉酸は水溶性ビタミンなので体内に蓄積されにいため継続して摂取する
  • 葉酸は加熱に弱いので食事から摂取する場合は葉酸量が減らないような工夫をする
  • 葉酸の吸収を妨げるためアルコールの摂取は控える
  • 葉酸と一緒にビタミンB12も一緒に摂取するようにする

これらの注意点を踏まえると葉酸の流出をなるべく少なく、そして効率よく葉酸を摂取することができます。

また、こちらも医師からも提案されると思いますが、体内の葉酸量を効率的に増やす方法はおおよそ3つです。

葉酸量を効率的に増やす3つの方法
  • 葉酸サプリメントで1日400㎍の葉酸を毎日摂取する
  • 医師の指導のもと、しばらくの間葉酸400㎍~1000㎍を1日1回経口投与してもらう。
  • 葉酸の多い食事にかなり変更する。
    例 モロヘイヤ、ほうれん草、春菊といった葉酸含有量が多い生の葉野菜サラダを毎日食べる

軽度の葉酸欠乏症であるなら、1の葉酸サプリメントの摂取を薦められることが多いです。

サプリメントは食品ではないため、副作用の心配がないこと、効率的に葉酸量を確保できるためです。

少し症状が進んでいる、もしくは早期に治してしまいたい場合は、薬などによる葉酸経口投与も提案されます。

このあたりの判断は、やはり葉酸欠乏症になった方の生活習慣や体質、様々な要因を考えて判断するのが一番です。

医師と相談の上で葉酸の摂取量を増やしていくのが進めやすく、安心です。

まとめ

葉酸欠乏症は原因としては唯一「葉酸が不足していること」と分かっていますが、原因や症状を考えると、葉酸欠乏症かも?と思ったときは医師による検査が必要です。

ただ、原因はシンプルなので、自分が葉酸欠乏症になった原因を正確に把握すれば、解消はそれほど難しいものではありません。

あなたの葉酸欠乏症が少しでも早く解決しますように。

もし、医師によって葉酸サプリメントによる摂取を提案されたり、葉酸の多い食事を提案された場合は以下の記事が参考になるかと思います。

→葉酸不足サプリメント
→葉酸の多いレシピ

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