「すっぽんが美肌にいいと聞いたことはあるけど、なんでなのかよく分からない…」
「すっぽんを食べるとダイエットができるって誰かが言っていた気がするけど本当?」
など、すっぽんの効果について、断片的に聞いたことはあるけれども、どうしてそういう効果があるのかがよくわからなかったり、根拠が不明で何が都市伝説で何が本当なのか区別がつかない、という方も多いのではないかなと思います。
それもそのはず。それはすっぽんの効果について、包括的にしっかりと書かれた記事が少ないためです。
この記事では、すっぽんの効果について、できるだけ簡潔にまとめつつも、全体感がわかるように、根拠も交えてしっかりとお伝えしていきます。
目次
ひと目でわかるすっぽんの効果のまとめ
すっぽんの効果 | 重要度 | 備考 |
---|---|---|
美肌効果 | 豊富なコラーゲンが美肌に効果的! | |
ダイエット効果 | BCAAという脂肪燃焼に必要なアミノ酸が豊富! | |
滋養強壮・精力増大効果 | 漢方の原料として効果を発揮! | |
貧血防止・造血作用 | 漢方の原料として効果を発揮! | |
血中コレステロール・中性脂肪抑制効果 | すっぽんの肉には多価不飽和脂肪酸が豊富! |
すっぽんの効果で主なものは上記の通りです。
他にも、高血圧改善効果、関節痛改善効果、骨密度改善効果、爪の強度改善効果、毛髪の太さの改善効果などがありますが、今回は特に重要な上記の効果に絞ってこれから詳しく解説していきます。
すっぽんの美肌効果等はコラーゲンを豊富に含んでいるため
すっぽんは豊富なコラーゲンを含む食材として知られています。特にすっぽんの甲羅と体の間にあるエンペラと呼ばれるクッション部分には、衝撃を緩和するためにコラーゲンが豊富に含まれております。
このコラーゲンという成分、皮膚を作るための大変重要な成分なのですが、具体的にどういった効果があるのでしょうか?
一般財団法人の日本皮革研究所という皮革製品やコラーゲンに関する専門機関がまとめている資料がありますので、そちらからご紹介します。
7.コラーゲン経口摂取の効果
ゼラチンは古くから食材として利用されており,1175年にはすでに,St. HILDEGARD 8)がゼラチンの摂取で関節の痛みが軽減することを報告している。
コラーゲン経口摂取の効果に関する論文をみると,初期にはゼラチン摂取の効果について報告されているが,最近では,ゼラチンを加水分解したコラーゲンペプチドの摂取に関する論文が多い。両者の作用を精密に比較したデータは少ないが,基本的な作用は共通だと考えてよいであろう。本章では,ゼラチンないしコラーゲンペプチド摂取の作用に関する論文をとりあげて紹介する。
(引用:一般財団法人日本皮革研究所「天然素材コラーゲンの機能性」より)
コラーゲンの効果に関する論文を調べた上記資料によると、コラーゲンには下記の7つの効果があることがわかっています。
- 皮膚の水分量の改善効果
- 骨密度を増加させる効果
- 関節痛を改善する効果
- 爪の強度改善効果
- 毛髪の太さ改善効果
- 高血圧改善効果
- 血中の中性脂肪、コレステロールの改善効果
特に気になる方が多いであろうコラーゲンの美肌効果に関する記載を見ていくと、
。コラーゲンは体の組織を作るための中心的な成分の一つであり、体の組織が潤滑に動くようにするための重要成分であることが様々な論文や文献からおわかりいただけるかと思います。
すっぽんのダイエット効果はBCAAという脂肪燃焼に必要なアミノ酸を含むため
アミノ酸の種類 | 1袋62粒(21.7g)の含有量 |
---|---|
アルギニン(mg) | 626.2 |
リジン(mg) | 336 |
ヒスチジン(mg) | 83.7 |
フェニルアラニン(mg) | 188.5 |
チロシン(mg) | 81.2 |
285.2 | |
131.4 | |
メチオニン(mg) | 83.7 |
222 | |
アラニン(mg) | 713 |
グリシン(mg) | 1773.2 |
プロリン(mg) | 1010.6 |
グルタミン酸(mg) | 861.8 |
セリン(mg) | 292 |
スレオニン(mg) | 178 |
アスパラギン酸(mg) | 502.8 |
トリプトファン(mg) | 11.2 |
シスチン(mg) | 17.4 |
ヒドロキシプロリン(mg) | 830.8 |
すっぽんはコラーゲンだけでなく、豊富なアミノ酸を含むことでも知られています。
すっぽんのアミノ酸含有量に関しては、公的機関の資料は今のところないのですが、すっぽんを丸ごとサプリメントにしたすっぽんサプリの中で最も人気のある「すっぽん小町」というサプリメントがアミノ酸含有量を公開していますので、そちらをご紹介します。それが冒頭の表です。
この中で特に重要なアミノ酸が3つあります。青字で示したバリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸です。
この3つのアミノ酸は、BCAA(Branched Chain Amino Acid 分岐鎖アミノ酸)と呼ばれる、人が体内で作ることのできない必須アミノ酸です。
BCAAは運動時に筋肉のエネルギーとなるアミノ酸で、脂肪の燃焼が行われるためには、体内にBCAAが存在しなければなりません。
この
なのです。ただ、すっぽんを食べたらそれだけで痩せるということではありません。あくまで運動をした時に脂肪を燃焼しやすくするのがすっぽんの役割ということになります。
すっぽんは漢方の原料として滋養強壮・精力増大・造血等の効果が知られている
すっぽんは、その効果の高さから、古くから漢方の原料としても用いられてきました。漢方の原料としての名前は、鼈(すっぽん)もしくは土鼈甲(どべっこう)などと呼ばれています。
漢方においては、主にすっぽんの甲羅が原料として用いられています。効果効能には、
- 滋養強壮・精力増大
- 造血作用
- 鎮静効果
などが知られています。
すっぽんといえば、男性が精力増大のためにすっぽんドリンクを飲むという使われ方がありますが、これも古くから漢方として知られてきた効果が根拠になっていることがわかります。
栄養価の比較でわかるすっぽんの効果は悪玉コレステロールを下げる効果など
100g中の栄養価 | すっぽん | 鶏肉 | 豚肉 | 牛肉 |
---|---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 197 | 145 | 172 | 298 |
水分(g) | 69.1 | 72.6 | 64.3 | 57.7 |
タンパク質(g) | 16.4 | 21.3 | 19.4 | 17.4 |
脂質(g) | 13.4 | 5.9 | 8.2 | 23.7 |
炭水化物(g) | 0.5 | 0.1 | 5.1 | 0.4 |
ナトリウム(mg) | 69 | 42 | 930 | 39 |
カリウム(mg) | 150 | 340 | 290 | 290 |
カルシウム(mg) | 4 | 9 | 3 | |
マグネシウム(mg) | 10 | 27 | 20 | 18 |
リン(mg) | 88 | 200 | 260 | 150 |
鉄(mg) | 0.9 | 0.3 | 0.7 | 1.4 |
亜鉛(mg) | 1.6 | 0.6 | 1.3 | 3.1 |
銅(mg) | 0.04 | 0.03 | 0.06 | 0.06 |
マンガン(mg) | 0.02 | 0.01 | 0.04 | 0 |
ビタミンA(効力)(μg) | 18 | 0 | 11 | |
ビタミンD(μg) | 0.1 | 0.6 | 0.6 | |
ビタミンE(mg) | 0.3 | 0.3 | 0.7 | |
ビタミンK(μg) | 5 | 23 | 6 | 5 |
ビタミンB1(mg) | 0.09 | 0.85 | 0.05 | |
ビタミンB2(mg) | 0.1 | 0.2 | 0.12 | |
ビタミンB3(ナイアシン)(mg) | 3 | 11.2 | 13.5 | 4.9 |
ビタミンB5(パントテン酸)(mg) | 0.2 | 1.74 | 0.64 | 0.52 |
ビタミンB6(mg) | 0.11 | 0.57 | 0.2 | 0.42 |
ビタミンB7(ビオチン)(μg) | 0 | 2.9 | 0 | 0 |
ビタミンB9(葉酸)(μg) | 12 | 3 | 5 | |
ビタミンB12(μg) | 1.2 | 0.2 | 1.2 | 0.6 |
ビタミンC(mg) | 1 | 3 | 20 | 1 |
飽和脂肪酸(g) | 2.66 | 1.53 | 2.51 | 10.85 |
一価不飽和脂肪酸(g) | 5.43 | 2.67 | 3.31 | 9.24 |
多価不飽和脂肪酸(g) | 1.03 | 1.02 | 0.43 |
すっぽんの栄養価に関しては、公的機関で計測された結果が存在します。文部科学省が作成した「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」という資料です。
この資料は様々な商品の栄養価を同一基準で計測したもので、日本の食品の栄養価に関する資料としては、最も信頼性が高いものと言えるでしょう。
この中にはすっぽんの肉に関する栄養価の計測結果もあります。
ただ、すっぽんの栄養価だけをポンと出してもわかりにくいので、馴染みのある肉である鶏肉、豚肉、牛肉と栄養価を比較したものを表にし、その中ですっぽんの栄養価が特に高いものを青字にしました。それが冒頭の表になります。
すっぽんの肉が他の肉より特に多い栄養素をまとめると、カルシウム、ビタミンA(効力)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB9(葉酸)、多価不飽和脂肪酸の8つになります。
とくにすっぽんが圧倒的に多い栄養素が多価不飽和脂肪酸です。これはどういったものかというと、悪玉コレステロールを下げる効果がある成分です。
本来肉というのは悪玉コレステロールを増やす飽和脂肪酸の量が多く、悪玉コレステロールを下げる不飽和脂肪酸の量は少ないものなのです。
ですが、
という特徴があるのです。すっぽんの肉に多い各栄養価の効果をまとめると下記のとおりです。
栄養素 | 効果 |
---|---|
ビタミンA | 目の機能改善効果 |
ビタミンD | 骨の健康を保つ効果 |
ビタミンE | 抗酸化作用 |
ビタミンB1 | 疲労回復効果 |
ビタミンB2 | 脂質の代謝、毛髪、爪の再生、老化防止 |
葉酸 | 造血、胎児の障害確率を下げる効果 |
多価不飽和脂肪酸 | 悪玉コレステロールを下げる効果 |
すっぽんサプリにはどんな効果があるの?
ここまですっぽんの効果に関して様々な角度から見ていきましたが、すっぽんは自宅で調理を行うのが難しいため、食べるには、一般的にすっぽん料理の専門店などで平均1万円前後の金額を払わなければなりません。ちょっと敷居が高いですよね。
そこで
です。すっぽんのサプリというのは大きく2種類に分類することができます。1つはすっぽんを主原料として使用しているサプリメントで、もう1つはすっぽん以外の原料もいろいろ使っているサプリメントです。特徴を表にまとめると下記のとおりになります。
すっぽんサプリ名 | すっぽんの効果 | すっぽん以外の効果 |
---|---|---|
すっぽん小町 | ||
肥後すっぽんもろみ酢 | ||
すっぽんの恵みプレミアム |
すっぽん小町やすっぽんの恵みプレミアムなどに代表される、
を得ることができます。これらのサプリはすっぽんの肉やエンペラという甲羅と肉のクッション部分を中心に使用しているため、アミノ酸やコラーゲンを摂取することができます。
一方生き血などは使用しないため、すっぽんをそのまま食べるのと比べると鉄分に関しては多く摂ることができません。
すっぽん以外の原料もいろいろ使っているサプリメントとしては肥後すっぽんもろみ酢が有名です。
。
それぞれのすっぽんサプリメントの効果に関して詳しく見ていきます。
すっぽん小町の効果は?
上記はすっぽん小町の原材料名が書かれた部分の画像です。
と法律で決められているため、原材料の記載を見ることで、そのすっぽんサプリの特徴がわかります。すっぽん小町に関しては、原材料名の一番最初にスッポン粉末と書かれており、記載されている原材料自体の数は多くありません。つまり、
です。成分表示を見ると、コラーゲンに多く含まれるアミノ酸であるヒドロキシプロリンを多く含有していることと、アミノ酸を豊富に含んでいることとから、
ことがわかります。肥後すっぽんもろみ酢の効果は?
肥後すっぽんもろみ酢の原材料の部分を見ると、すっぽん小町とは対照的に、いろいろな原材料が記載されていることがわかります。
大豆ペプチド、スッポン末、L-シトルリン、亜鉛含有酵母、スッポンオイル、もろみ酢末、米黒酢末の順で原材料が書かれているので、肥後すっぽんもろみ酢で一番多く使用されている原材料はすっぽんではなく、大豆ペプチドです。
大豆ペプチドはタンパク質よりも素早くアミノ酸に変わることが特徴の物質で、L-シトルリンは精力剤等で使われることの多いアミノ酸の一種です。
またもろみ酢や米黒酢もアミノ酸を多く含む特徴があるため、
であることがわかります。一方、すっぽんそのものの含有量はすっぽん小町等のすっぽんメインのサプリメントと比較すると少なくなるため、すっぽん特有のコラーゲンの美白効果等は弱まることが推測できます。
すっぽんの恵みプレミアムの効果は?
すっぽん料理の老舗である料亭やまさ旅館が手がけているすっぽんサプリであるすっぽんの恵みプレミアムの原材料を見てみると、すっぽん小町の構成に近いことがわかります。
つまり、すっぽん粉末をメインの原材料として使用しており、その他の原材料の使用は少ない、という特徴です。
すっぽんの効果を多く得たい場合は、混ぜ物があるものより、このようなすっぽんが主原料のサプリメントが優れています。
ことがわかります。
以上、すっぽんのコラーゲンやアミノ酸を豊富に含むところからきた効果や、漢方の原料として知られている効果、栄養価の比較からわかる効果、さらにはすっぽんサプリの効果も見てきましたがいかがでしたでしょうか?
と言えるでしょう。
また、すっぽんのサプリにもすっぽんが主原料のものと、すっぽんの他にもいろいろ原料を使っているものの2種類があり、それぞれ特徴と効果が異なることもお分かりいただけたかと思います。
すっぽんは様々な効果を持つ栄養価の非常に高い食材ですので、すっぽん料理やすっぽんサプリなどを通じて、積極的に食していくとよいでしょう。